瀬戸「そうだったんですか・・・
イワンさん。私が払いますから」
イワン「いいんです。瀬戸先生は
私を頼ってくれました。それが
嬉しかったんですから。初めて人の
役に立てた気がしました」
瀬戸「ダメですよ。支払います」
そうは言われても日々の生活に余裕が
ないのは知っている。払わない訳にいかなかった。
イワン「本当にいいんです。
今回のこの経験が気分いいんです」
瀬戸「イワンさん・・・」
イワン「仕事を中止して自分には
何もメリットが無いのに初めて必死に
なってなんとかしようと思いました。
もっとうまく全員来てくれるって思って
ましたけど全然ダメで。悔しかったです。
ですけどそれでも来てくれる人がいて
追加でも来てくれて。あぁ頑張るって
こういうことなんだろうなぁって知りました。
もっと早くから気づいてればと思いました。
瀬戸先生はこういう思いをいっぱいして
きたんだろうなぁって思ったりもしました」
瀬戸「そうですよね。仕事中止させて
しまってましたか。本当にすみません。
そちらの分も私が支払いしますので」
イワン「本当にいいんです。瀬戸先生。
先生だって今日の少年の患者救うのに
損得勘定はありましたか?」
瀬戸「無いです」
イワン「やはりそうでしょうね。今までの
この病院の医者はお金無いってだけで
人としても扱ってもらえませんでしたから」
瀬戸「噂では聞いています。患者からも
怨まれてるようなことは言われましたから」
イワン「そんな先生の力になれて・・・
本当によかったって思うんです。だから
今日は私が選んでやったことですから。
そろそろ帰ります。妻とも話しだいですし
妻もそれで私を責めたりしないと思います」
瀬戸「せめてタクシー代。出します。
財布とってきますのでちょっとだけ
待ってて下さい。」
イワン「いいんです。瀬戸先生。
お医者さんであるあなたが私みたいな
貧困街の者を丁重に扱ってくれて
本当にありがとうございます」
瀬戸「すぐに戻ってきますから」
俺はすぐに財布を取りに戻って
戻った時にはイワンさんはいなかった。
瀬戸「はぁ・・・失敗したなぁ」
モニカ「瀬戸医師。いや准教授」
瀬戸「はい?えっと・・・」
誰だかわからない。私服なので余計に。
モニカ「あたしはモニカ。ここの本館の
医師で麻酔医。聞いたことない?」
瀬戸「・・・すみません」
モニカ「知っておきなさいよ。まぁいいわ。
あんたすごいねー。驚いたよ。准教授って
認められるのもわかったわ。そうそうさっき
話してたイワンって人にあたし200ユーロ
渡しておいたから返してくれない?」
瀬戸「えっ?マジで?」
受付に聞くとうなづいていた。
どうやらイワンさんは受け取ってくれたみたいだ。
瀬戸「わかった。なんで受け取ってくれた?
受け取るそぶりは見えなかったけど」
モニカに200ユーロを渡した。
モニカ「話し聞いてたからね。
あんたからは受け取らないのはわかった。
200ドルもあれば全員の交通費を
払ったとしてもお釣りがくるでしょう。
この病院で別館の患者達を治療せずに
死なせていたって言われるのは事実だから
そのお詫びで受け取ってて。って言った。
もちろん返さなくていいってね」
瀬戸「そうですか。理由はどうであれ
受け取ってもらえてよかったぁ。ありがとう
モニカ医師」
頭を下げてお礼をした。
モニカ「あんた?下げる頭まであんの?
今日はもう終わり?昨日の夜からあんた
本館来てたでしょ。あたしも昼から終わって
あんたんとこの採血手伝ってその後ちょっと
見てたんだけどお茶でもしようよ」
瀬戸「採血も?ありがとうございました。
でもまだやることあるんで・・・失礼します」
モニカ「マジで?あんた死ぬよ?
昨日からずっとじゃん」
瀬戸「改善してくれませんからね。
しょうがないですよ。ではまた」
俺はただ眠たかった。
仮眠室で寝て夜勤でまた働いていた。
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