第1527話 考えの相違

2025年11月5日

第53部-瀬戸の過去-

t f B! P L
それからしばらくして・・・

瀬戸「だいぶよくなりましたね。
これなら手術無しで大丈夫です。
薬で散らしましょう。」

?「本当ですか?よかったぁ」。
先生。ありがとうございます

末期前に診察に来てくれる人が
少しづつ増えてきていた。

その結果、助かる患者が増えてきた。

?「先生のおかげです。ありがとう」

彼の名前はイワン。45才。
奥さんと子供が2人いて毎日
ずっと身を粉にして低賃金で働いていた。

イワンさんは病院に来る気はなかったが
家族にお金よりも命と言われ診察にきた。

彼はただの盲腸だったが、早期でわかり
手術無しで済んだのが感動していた。

イワン「先生は我々を見下すことなく
診てくれるから本当にありがたいです」

瀬戸「見下す理由はないですからね。
まぁ医者はだいたい偉そうですが」

イワン「金持ちばかりを相手にして
貧乏人には偉そうにしてるのが普通で
我々なんて貧乏だから相手にも
してもらえなかったんですよ。昔は」

瀬戸「ドイツはそういう所ありますね。
お国柄なんでしょうけど」

イワン「でも先生は若いのに違う。
これからもそのままでいて下さい。
お時間ある時にでも家に来て下さい
たいしたもてなしはできませんけど
いつでも来てください。そして
ご飯でも食べていってください」

瀬戸「ありがとうございます。
いつか寄らせてもらいます」

何度も家にご飯を誘ってくれるけど
急に邪魔するのもさすがにできない。
結果、時間がとれずに行かなかった。

そしてイワンさんだけではなく
こういう話をしてくれる患者は数名いた

瀬戸「あー。疲れた」

スタッフ「お疲れ様です。
今日はもう終わりですか?」

瀬戸「そうやなぁ。たまには帰るわ。
オンコール入ったら遠慮なく呼んで」

時間は夜の9時だった。
もう3日は帰っていなかった。

スタッフ「わかりました。たまには
ちゃんと休んでくださいね」

瀬戸「ありがとう。じゃあ帰ります」

そのまま電車に乗って帰る。

電車の中で居眠りをし乗り過ごして
帰る時も多々あった。

瀬戸「ただいまーっと」

1R8畳のマンションで住んでいた。
普通のサラリーマンが住むような家。

医師で准教授が住むような部屋では
なく夢も何も与えない暮らし。俺はいい
暮らしをしたくて医師になったわけではない。
帰って医学書読んで寝れればよかった。

洗濯機を回して医学書読んで寝てた。
そして翌朝は6時に起きて病院へ行く。

こういった不規則な生活をずっとしていた。

協議会の報告会にを呼ばれても出席できず
医師を回してくれる訳でもないので欠席してた。

実態は出世の為に患者よりも協議会を優先する
医師が多く、俺の連続欠席は目立っていた。

ある時、教授の医師からなぜ協議会に出ないのか
聞かれ、出席しておきなさい。と言われてた。

教授もそんなに言わないけど一言注意だけを
しておかなければならないと思ったのだろう。

注意されても俺は協議会に出なかったけど・・・

ある時、院内本館(ドイツ人専用の個室多々で
金持ちを相手にしている館内)を歩いていたら
その教授と准教授や上位医長達が集まって
手術の内容を話していたよ。

金持ちや社会的に偉い人が多いので
最先端の医療器具と技術と知識もある
スタッフが揃っている特別待遇の部署。

失敗なんてできないんだろうな。ちゃんと
打ち合わせをしていて最適な手術を探してた。

こうやって意見をかわしやっている所はさすがだ。
これだけで失敗の可能性は大きく減る。

教授がずっと大きな失敗せずにやってこれたのは
徹底してやっていたからだろう。

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