第1523話 時間の無駄

2025年10月30日

第53部-瀬戸の過去-

t f B! P L
瀬戸さんは話を続けた。

そういった状態で1年が過ぎてた。
ほとんど病院で泊まって過ごしてた。

俺は色々と手術に失敗していて
世間からは非難ばっかり受けていた。

俺はいつも通りにしていたからかな。
普通は精神がやられて病むらしいが
できない事に向き合うのは当然だったから。

院内でもあの部署でまだ辞めないのか?と
周りからは噂されていた。

この1年。俺が一人でやっているのを見て
スタッフの意識が変わりだしてな。

救えない命と向き合っていくようになった。
遺体を色々と解剖していくと気になったのが
臓器の機能不全が原因である事が多かった。

飢餓、不健康、悪臭の環境等の中で生きれば
臓器がやられるのは当然だった。

ある日。俺はスタッフと移民者等の
集落に向かった。

お父さんを返せと言われたりして
帰れコールの上にびん、缶等を投げられてた。

そうなることは当然にわかっていた。
俺はうるさい彼らに叫んで言った。

瀬戸「恨むなら恨め。病院に来なくてもいいように
生きたいなら今から1回だけ見せる。真似ろ」

1つだけチャンスを与えたかった。
やる。やらないのはどっちでもいい。

24式太極拳を1回だけ披露した。

瀬戸「これは東洋の健康法だ。
太極拳という。
お前らの親は臓器不全が原因で
亡くなっているのが原因。
お前らを育てる為に
黙ってずっと頑張ってきた
親を俺は救えなかった。
だから恨めばいい。
病気にならないようにするなら今ので内功を
高めて体を強くしろ。いいか。
2度目のチャンスは与えない。
病院に来たら死を覚悟しろ」

医師の言うセリフじゃないからな。
そこにいた全員が黙り込んでいた。

スタッフ「いいんですか?
あのようなことを言って」

瀬戸「あぁ。後はあいつらが決めればいい」

スタッフ「さっきの1回で覚えられる訳が
ないと思いますけど。どっちにしてもチャンスを
与えたという事にはならないのでは?」

瀬戸「そやな。覚えれるとは思ってない。
それにちゃんと教えたとしてもやろうとも
しないだろう。その中でもなにかをしようと
動く者が現れれば少しは変わっていくやろう」

スタッフ「厳しいですね。難民にも誰にでも」

瀬戸「抗ってたら助けてやるけどな。さすがに」

スタッフ「なるほど。さっきの太極拳ですけど。
私にも教えてくれませんか?昨日今日で覚えた
ような動きじゃなかったですけど」

瀬戸「昔からやってるからな。いちいち覚えなくて
いいやろう。オリエンタルは向かへんよ」

スタッフ「じゃあ勝手に動画見て学びます。
やってできなくて抗ってたら教えて下さいよ?」

瀬戸「いやだ。時間の無駄や」

スタッフ「ひどっ。ひどい上司」

それからしばらくしても誰一人太極拳を
している者は現れずこれまでと同じように
末期で来る患者が多かった。

しかし・・・少し変わりだしていた。
末期には近いがまだ治せる見込みが
ある状態で来る患者が少しづつ増えだした。

それとある患者と話をしていた時だった。

病院に行ったら死ぬ。と言ったことで
病院に行かないようにどうすればいいか?
と考える者が現れてたと言っていた。

瀬戸「へぇ。誰か現れたんですね」

患者「でも何をどうやればいいか
全然わからないみたいで。色々と
話し合ってるみたいですけどね」

瀬戸「最初は話合いからですよ。
そこからまとまるかまとまらないか。

何もしなかった0から1へ動くか
どうかはいい経験になりますよ」

患者「なんか・・・先生は今までの
先生とは違って。本当にすみません」

瀬戸「いえいえ。謝らないで。
早めに病院に来たら助けますから」

この頃から非礼をお詫びする人が
増えてきていた。

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