父さんが風呂から出てきた。
ビールを用意してあげて僕は
缶チューハイでつきあった。
京美はジュースで席につく。
父「司。野田から聞いたん
やけどバレーなったんか?」
司「そうそう。くじ引きなしで
バレーになってん」
父「多田さんとこのバレーを
手伝わせるって聞いたけど」
司「そうそう。守君もね。
そういえば父さんと多田さんは
どういう知り合いなん?」
父「大学の時の同級生や。
俺と同じで夜間で苦学生や」
司「へ~。そうやったんや。
大学の同級生やったんや」
父「あいつは大学卒業して
銀行に就職できてそこで旦那
と知り合って結婚して主婦に
なったんやったかなぁ。
詳しくは覚えてへんけど」
司「主婦やのになんでバレー
をしてるんやろ?」
父「さぁ?知らんけど。
ちょっとしたセレブやから
暇なんちゃうか?」
司「そっか~」
父「まぁ。勝たせたってくれ
一生懸命してるみたいやし」
司「勝たせてくれって?
母さんにも言われたんやけど」
父「あれ?聞いてないんか?」
司「助っ人としか聞いてない」
父「勝ったことないねんてよ。
今までやって1回も」
司「えっ?そうなん?」
さすがにこれは驚いた。
父さんは話を続けた。
父「頑張っても頑張っても
試合に勝てなくて大差で負ける。
だんだんと惨めになってしまって
恥ずかしくて辞めていく。
4人でやっても試合できへんし
このままじゃ他の人も辞めて
チーム自体なくなってしまう。
って悩んでたからなー」
司「それで・・・僕らに?」
父「秋のスポーツあるから
それで入れてくれって野田に
言っておいたんやけどな~。
まさか司らがやるとは・・」
司「勝ったことないんかー。
それは・・そういうことかぁ」
今度の市民大会で・・・
勝って宣伝する目的がある。
父「あいつらだけやったら
勝てないから。頼むわ」
司「・・・足引っ張らない
だけやと思ってたのに・・
はぁ・・・責任感じるわ」
チームとして勝たせる。
初心者の僕らが・・・
それが僕らの役目と知った
桁成達がきついと言ってた
のはこういうとこだった。
それは僕らだけじゃない。
洋平にしても他の者にしても
みんなそれぞれ重圧がある。
そういう重圧を背負った上で
得意分野以外で勝負をする。
不利な状況でも勝て。
という事を何も言わず経験を
させられてる事に気づいた。
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