第820話　喧嘩のタイプ

司「僕・・・この前なぜか
めっちゃ強い人とタイマン
張ることなったんですよ」

天野「へぇ。タイマンって
君は喧嘩をするんか？」

司「したくないんですけど
逃げるわけにもいかなくて

僕は勝つ理由とかはないし
負けてもなにもないのに
なんでなんでしょう・・・

その時始めて勝ちたいって
思ったんですよね・・・

向こうは何か理由があって
勝たないといけなかった
感じだったんですけど・・

僕も勝ちたいって思った。
あてられたんでしょうか？

喧嘩が・・・初めて・・・
楽しいと思ってしまって」

天野「熱さを感じたか？」

司「はい。なんか負けれ
ないって想いが殴り合って
たら伝わってきました」

天野「そうか・・・なら
ただの意地の張り合いや」

司「意地の張り合い？」

天野「喧嘩なんてのは
勝っても負けてもそこには
なーんにも残らへんねん。

ただやりあってる者にしか
わからん聖域みたいのが
あってそこにどっちの意地
が上か・・・そんで正しい
か比べてるだけやからな」

司「聖域みたいなの・・・
ありました。周りに人が
いたのに・・・２人だけの
世界みたいでした・・・」

天野「喧嘩でも色々あって
タイプってのがあんねん。

ただ勝ちたいって言う奴と
単純に好きでやってる奴。

自分の信念を曲げたくない
から曲がってることだけに
対し喧嘩をしている奴や
仇をとるためにやる奴。

後は守る為に戦う奴や。

君はどんなタイプや？」

司「うーん・・・」

天野「悩むなや。考えて
選ぶもんじゃないねん」

司「いえ・・・どれも
違うんですよ・・・」

天野「なにっ？違う？」

司「なんていうんやろ。
基本喧嘩は痛いだけやし
嫌いなのでどーでもええ
場面では逃げたいんです。

でも逃げたらあかんって
時があるじゃないですか

満点とらないといけない
場面っていうんですか。

その時だけ・・・戦う
しかない場面の時以外は
逃げたいってタイプです
そんなんダメですか？」

天野「いや。ええやろ。
ただ・・・その考え方は
上の立場の考え方や」

司「上の立場の考え方？」

天野「あぁ・・・普通は
強者の考えって言ったら
単純に好きでやってる奴
が多いんやけどな・・・

結局それは個人戦やねん
タイマン以外は卑怯とか
とにかく文句言うねん。

君がさっき言ったのは
負けたらあかん場面で
きっちり勝つって事や。

卑怯とか関係ないねん。
とにかく勝つことやねん

強いっていうのとは
ちょっと違うんやけど」

僕は否定されなかった。
否定されると思ったのに