第737話　今に繋がる過去

守「強さだけ求めてたら
俺が憧れる訳ないやん」

司「そうそう。まさか
女子もいるとはさすがに
思ってなかったけどね」

杏「女子は女子で護身術
を身につけておかないと
って事やってんけどね」

翔子「指導も男子と違う
料理とかさせられるし」

司「えっ？そうなの？」

翔子「うん。男子とは
色々と違ってると思う」

杏「そうやんね～。女子
は強さを求めるなって
何回も言われてるし」

司「何を求めるの？」

翔子・杏「美っ」

司「美？美しさ？」

杏「そう。そういう事」

翔子「せやからあたしら
日本舞踊やっててんよ」

男子と女子は共通部分は
一緒でも専門部分は違う

男子は日本舞踊はしない

守「日本舞踊つったら
俺も少しやってたけどな
間の最高峰だっけな？」

司「守君やってたの？」

守「あぁ。タマと一緒に
ビデオ見ながら真似てた

ダディが技と技の微妙な
間があるからってな。

間は魔物なりって言った
尾上流６代目の菊五郎が
日本舞踊やなかった？」

翔子「そうそう。間で
美しさや全てが決まる
ってこと説いてた」

司「間・・・間かぁ」

中学の時に女子部で一緒
に練習をしてたときに
ポンポン投げられてた事
があってなんで投げられ
てたかがわかんない時が
あってずっと謎だった。

それは男子部とは違って
独特な感じだったから。

もしかして・・・あれが
間だったのかと思った。

もう・・盗んでたけど。

翔子「みんなずっと一緒
に成長してきてるけどさ
沢田君と宮根君は２年間
でだいぶ変わったよね」

守「まぁ・・そうかな」

司「う～ん。わからん」

翔子「沢田君はだいぶ
最初と変わってるって。

最初はもっとギスギス
して人を近づけない感じ
めっちゃ出てたもん」

司「あ～。それはあった
だって最初は平沢君達に
喧嘩売りに行ってたし」

杏「え～。そうなん？」

守「・・・そうやった」

司「最初は喧嘩売られて
勝ったのに勝った気が
しなくて悔しがっててん

そんで仕返しに行くって
いってたけどみんなが
羨ましくて変わってん」

守「・・・恥ずかしい」

僕だけが知ってた過去だ
あの頃に・・もし黙って
無視してたら大事な今は
得られてなかっただろう