男「別に言える事って
なんにもないねんけどなぁ
なんにもしてやれへんもん
これを見ているってことは
15歳になってるもんなぁ。
15ってことは反抗期かな。
父さんはいるんかなぁ?
母さん気が強いからずっと
1人で育ててるんかなぁ?
なーんにもわかんないや。
ただ・・・気になるのは
由紀のことやなぁ・・・
守にとって・・・由紀って
どう写っているんやろう?
ひどい母さんとか思うかな
強い母さんって思うんかな
責めないでいてほしいな。
由紀は精神的には強いけど
そこまで心は強くないねん
強がってたりして周りには
大丈夫そうに見せるけど
そのほとんどがやせ我慢や
守も母さんの事やから
そういうのはわかると思う
そうそう。守っていう名前
なんやけど俺がつけた。
母さんを守ってほしいから
母さんは攻撃するほうは
強いんやけど防御になると
弱いところがあるからな。
足りない部分を補って
助けてあげてほしいんや。
そういう願いからつけた。
本当は俺が守り続けて
あげたかったけど・・・
その役目は無理みたいやわ
ごめんな・・・俺の役目を
勝手にバトンタッチして。
学校でもいじめられずに
過ごしてほしいと思うから
人間的に強くなってほしい
それだけが俺の願いやから
ふぅ・・・疲れたなぁ・・
そろそろ止めてほしいわ」
由紀「もう限界そうやね」
男「うん。かなり・・・」
由紀「じゃあ終わろうか。
守。15年後のあんたは
どんな風になってるかな?
今はまだ会えないけど
あんたに会えるのをウチは
すごく楽しみにしてるから
お母さんの若い姿を見て
あたしに惚れたらあかんよ
じゃあ15年後ね。
15年後のウチもまたね~
じゃあね~。バイバ~イ。
これでよしっと・・・」
男「電源切れてないって」
由紀「えっ?あれっ?」
京子「終わったぁ?」
男「終わったんやけど
電源切れてないねんや。
京子が切ってやってや」
京子「しゃあないなぁ。
えっと~。ここをこう」
ブチッ・・・
ビデオはそこで止まった
そして巻き戻しをしてから
ビデオを取り出した。