男「それぐらいかな・・・
司がどんな感じで育って
成長してるかわからんけど
強くなっていってほしい。
それだけが俺の願いやな。
悪い。もう止めてくれや。
そろそろもう限界やわ」
京子「もう疲れたかな?
言いたい事は言えたぁ?」
男「言えた。言えた」
京子「じゃあ閉じるねぇ~
司~。15年後のあんたに
会えるの楽しみしてるよ」
男「次は由紀の・・・」
ブツッ・・・・
ビデオはそこで止まった。
母さんは巻き戻しをした。
母さんはずっと泣いていた
本当に好きだったのだろう
母「ごめんね・・・」
司「母さん・・・若いね。
なんか・・・幸せそうで」
母「あの頃は何やっても
あの人が楽しくやってて。
一緒にいるのが楽しくて」
司「母さんさぁ・・・
あの人と父さんのことは
どっちの方が好きなん?」
母「それは・・・言えない
言う事じゃないから・・」
司「そっか・・ごめんね。
じゃあ質問変えるよ・・・
母さんはさぁ。もし父さん
がいなかったら僕を1人で
育てるつもりやったん?」
母「うん。母さんが働いて
司だけは何があっても幸せ
にしてあげようと思った」
司「母さんは今幸せ?」
母「うん。すごく幸せ。
父さんがいて司がいて京美
がいて母さんは幸せやで」
司「じゃあ・・・なんで」
僕は言いかけた言葉を飲む
本当に今幸せなの?って。
ビデオの時のような表情を
僕は見たことがなかった。
母「父さんね。まだ若いし
お金もあるのに浮気せずに
家庭を守ってくれるやんか
キャバクラとか行かないし
お酒も家でよく飲むしね」
司「うん。そうやね・・・
でもいいや。僕は母さんが
幸せならそれでいいや」
難しい事はもう考えない。
考えるとわからなくなる。
司「なんか・・・わからん
でも僕が父さんの子供じゃ
ないってのはわかったよ。
ごめんもう部屋に戻るね」
なんとか頭で受け入れた。
完全にはまだだったけど。
僕は自分の部屋に戻って
色々と考えたかった・・・
母「待って・・・まだ・・
この話はまだ続きがある」
司「えっ?なんなん?」
そう・・・ここまでなら
僕はまだ受け入れられてた
翌日父さんに話を聞いて
終わらせたかったのに・・
あの人は・・・罪だった。
死んだ父さんは最低だった