野田「この辺りでいっか」
司「・・・」
野田「おいおい。司。
へこまんとってくれや」
司「わかってるんですよ。
でも・・・へこみます」
野田「精神的にもろいな。
それやと今やってる努力も
全部無駄になっちゃうぞ」
司「・・・えっ?」
野田「F班のみんなが司の
ために教えてくれてたり
守とタマが教えてくれてる
事も全部無駄になるねん」
司「でも・・・」
野田「司はお坊ちゃまやし
苦労もした事ないやろから
その辺りはわからんやろ。
いちいち言われたぐらいで
へこんで崩れてくれてたら
相手は司をなめるやろな」
司「・・・」
返す言葉がなかった。
野田「挑発されてな。
触発される人って司は
見ていてどう思う?」
司「バカだと思います」
野田「そうやな。だけど
無視する事もできへん。
じゃあどうするべき?」
司「わからないです」
野田「こっちのペースに
引き込むようにするねん
煽って挑発に乗るべきか
流していらつかせるのか
それとも黙って殴るか。
相手の言ってる事なんて
まともに聞かんでいい。
相手の状態だけ見てる」
司「なんか難しいです」
中学2年の僕には難しい
計算的な事ができない。
野田「そのうちわかるわ
綱吉や憲吾とか見てれば
だんだんわかると思う。
そんじゃあ合気入るか」
司「はい。お願いします」
野田「まず合気道ってのは
カラクリだらけと思えよ」
司「カラクリですか?」
野田「化勁と同じやねん。
合気道の場合は入身って
言うねんけど相手の攻撃に
対して正面からぶつからず
軌道を外して死角の側面に
入る体捌きの事やねんや」
司「ホウの事ですか?」
野田「そうそう。ホウの後
に軌道をそのままずらして
横に向けて一歩踏み込むと
相手に不利でこっちに有利
な体制ができてるやろ?」
司「確かに。はいっ」
野田「基本はそれと同じ」
司「それじゃあ合気道は
化勁と同じと思っても
いいんですか?」
野田「いや。それは違う。
理は同じでも全くの別物。
使い方がまた違うねんや。
化勁は化勁。入身は入身。
一緒には考えたらあかん」
難しい話になってくる。
武術は学問と言ってた守君
達の話が体験してわかった